2016年3月5日土曜日

感染症・解剖学・歯科・ジカ熱


感染症分類・解剖学・歯科


特殊感覚はどれか。1つ選べ。
a.触覚
b.痛覚
c.温度覚
d.平衡感覚

解答:d
解説:生理学より感覚についての問題です。
感覚は「体性感覚」「臓器感覚」「特殊感覚」に分類されます。
体性感覚:皮膚感覚(触圧覚・温度覚・痛覚)
       深部感覚(皮膚より深部にある皮下、筋、骨膜などに受容器をもつもの。位置、運動、
              振動の状態を知る感覚と、骨膜などの損傷による深部痛覚を指す。)
       筋紡錘(骨格筋の伸縮程度を測るための筋肉中の特殊な感覚装置。)
内臓感覚:臓器感覚(食欲、喉の渇き、空腹感、吐き気、性欲、便意・尿意など)
       内臓痛覚(内臓の刺激による感覚。血流の低下、内臓の拡張・痙攣性収縮・
              侵害刺激などによる)
特殊感覚:視覚・嗅覚・味覚・聴覚・平衡感覚

特殊感覚は、「見る・嗅ぐ・味わう・聞く・バランス」と覚えましょう。


冠状動脈について正しいのはどれか。1つ選べ。

a.下行大動脈の枝である。
b.大動脈より2本の冠状動脈が出る。
c.前下行枝は右冠状動脈から分枝する。
d.左冠状動脈の閉塞で下壁梗塞をきたす。

解答:b
解説:冠状動脈についての出題です。
心臓の話において、重要な部分です。しっかりと知識を深めましょう。
冠状動脈の特徴
・心筋を栄養する動脈である
・拡張期に血流が流れ込む
・大動脈より2本分枝する
・前下行枝は左冠状動脈から分枝する
・上行大動脈の枝で、大動脈弁直上より出る
・右冠状動脈の閉塞で下壁梗塞となる
といったことがあります。


3.脳幹に含まれないのはどれか。1つ選べ。

a.視床下部
b.中脳
c.橋
d.延髄

解答:a
解説:生理より、脳幹について聞きました。
脳幹は「中脳・橋・延髄」の3つからなります。
中脳:視覚・聴覚の中枢
延髄:循環、唾液分泌・呼吸などの中枢
ということも併せて覚えておいてください。
余談ですが、「視床+視床下部=間脳」です。視床下部は体温調節・食欲・飲水・睡眠などの中枢でもあります。
試験によく出る事項です。しっかりと押さえておきましょう。

基礎医学知識の問題です。


4.ジカ熱について正しいのはどれか。1つ選べ。
a.主な感染経路は経口感染である。
b.細菌感染症である。
c.潜伏期間は20日程度である。
d.感染症法の4類感染症である。

解答:d
解説:最近問題となっているジカ熱の話をしましょう。
ジカ熱は「ジカウイルス」によるウイルス感染症であり、
近年中南米およびその周辺の地域で流行しています。
主な感染経路は「蚊を媒介とした感染」です。
ジカウイルスに妊婦が感染すると、胎児への小頭症、
神経障害の可能性が指摘されています。
潜伏期間は2~7日です。
さて、「感染症法の4類感染症」とはどのようなものでしょう。
一言で言えば、「動物を媒介として感染が広がる感染症」です。
ジカ熱は先述の通り、蚊を媒介とするため4類感染症に認定されました。


<歯科>


クリストバライト埋没材について正しいのはどれか。1つ選べ。(歯科理工学)

a.耐火材は半水石膏である。
b.アンモニアガスが発生する。
c.総合膨張率は約1.5%である。
d.陶材焼付用合金を鋳造できる。
e.クリストバライトの変異点は573℃である。


解答:c
解説:歯科理工学から、埋没材に関する出題です。
歯科材料学の分野は定期試験・進級試験・国家試験で頻出です。
埋没材は大きく分けて「石膏系埋没材」と「リン酸塩系埋没材」に分類できます。
「石膏系埋没材」はさらに石英埋没材とクリストバライト埋没材に分けられます。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
石英埋没材 耐火材:石英 結合材:半水(α)石膏
・耐火材の石英は573℃で急膨張(=そこが変異点)
・膨張率は約1%(=寸法変化が小さい)
・ろう付け時の埋没材に用いられる

クリストバライト埋没材 耐火材:クリストバライト 結合材:半水(α)石膏
・耐火材のクリストバライトは220℃で急膨張(=そこが変異点)
・膨張率は約1.5%
石膏系埋没材は、結合材である石膏が高温で壊れ、鋳肌荒れの原因となるため、
融点が1000℃以下の金属に使用が限定されます。(低融点銀合金、金銀パラジウム合金、タイプI~IV金合金)

リン酸塩系埋没材 耐火材:石英+クリストバライト 結合材:リン酸アンモニウム、酸化マグネシウム
・石膏系埋没材と比較して強度が高い
・アンモニアガスが発生する
・融点が高い金属(陶材焼付用合金、Co-Cr合金)の鋳造が可能
・通気性に劣るため、エアベンドの付与が必須

理工は修復・クラウンブリッジ・義歯の基本となる重要な教科です。ここで知識を身につけましょう!!



計測点のうち、両側に存在するのはどれか。すべて選べ。(矯正)

a.A
b.B
c.N
d.Or
e.Ptm


解答:d、e
解説:矯正から計測点についての出題です。
ここは試験頻出分野です。点の位置と基準平面を押さえましょう!



計測点一覧
A:上顎歯槽基底部の最深点
B:下顎歯槽基底部の最深点
N(ナジオン) 鼻骨と前頭
Or (オルビターレ)眼窩の再下点(左右に存在)
Po (ポリオン)耳(イヤーロッド)の再上縁(左右に存在)
S(セラ) トルコ鞍(下垂体窩)
ANS(前鼻棘):前鼻棘最先端
PNS(後鼻棘):後鼻棘最先端
Pog(ポゴニオン):オトガイの最突出点
Gn(グナシオン):顔面平面と下顎下縁平面のなす角の二等分線とオトガイ骨縁の交点
Me:(メントン)オトガイの最下点
Ba:(バジオン)大後頭孔部
Go:(ゴニオン):下顎後縁平面と下顎下縁平面のなす角の二等分線と下顎角の交点(左右に存在)
Ptm 翼口蓋窩の下(左右に存在)
Ar(アーティキュラーレ) 下顎枝と頭蓋骨の交点(左右に存在)

したがって、両側性に存在するのはOr,Po,Go,Ptm,Arとなります。
計測点やセファロ分析は確実に押さえられるようにしましょう!



感染症分類において、マラリアと同じ分類のものはどれか。すべて選べ。(衛生)


a.黄熱
b.ジカ熱
c.ラッサ熱
d.デング熱
e.クリミア・コンゴ出血熱

解答:a、b、d
解説:衛生より感染症についての出題です。
感染症については進級試験・卒業試験、国家試験などで頻出の事項です。
ここで正しく理解しましょう。

さて、今回の問題のマラリアは何類感染症でしたか?4類感染症ですね。
4類感染症の特徴は、一言で言うと「主に動物を媒介とした感染症」です。
なので、この問題は言い方を変えると「4類感染症はどれか?」ということになります。
感染症分類について見ていきましょう。
1類感染症:危険性が極めて高いもの。エボラ出血熱・クリミア・コンゴ出血熱・ラッサ熱・ペストなど。
2類感染症:危険性が高いもの。結核、ポリオ(急性灰白髄炎)、ジフテリア、SARSなど。
3類感染症:危険性は高くないが、集団発生のリスクがあるもの。
        コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフスなど。
4類感染症:健康に影響を与えるリスクのあるもの。動物を媒介とした疾患が多い。
        A,E型肝炎、マラリア(蚊が媒介)、黄熱(蚊が媒介)、ジカ熱(蚊が媒介)、
        日本脳炎(蚊が媒介)、デング熱など。
5類感染症:国が特に注意を呼びかけ、情報提供をするもの。
        B,C型肝炎、梅毒、破傷風、アメーバ赤痢、風疹、麻疹、インフルエンザ
        (H5N1、鳥インフルエンザ、新型インフルエンザを除く)など。

ここで、最近の話題として、ジカ熱の話をしましょう。特徴は以下の通りです。


ジカウイルスによる発症
・蚊を媒介とした感染
・妊婦が感染すると、胎児の小頭症、神経障害の可能性が指摘されている
・主に中南米およびその周辺で近年流行
・潜伏期間は2~7日
先日、ブラジルより帰国した神奈川県の
高校生がジカ熱に感染していることが発覚したことはニュースにもなっています。
時事問題は国家試験でも狙われます。きっちり押さえておきましょう!


少し難問です。
4.歯根膜の線維について正しいのはどれか。1つ選べ。(生化学)

a.IV型コラーゲンが多い。
b.脈管・神経は線維間を通らない。
c.コラーゲンの半減期は歯肉より長い。
d.架橋形成の度合いは歯の動揺に関係しない。
e.還元性架橋結合の割合は加齢で変化しない。

解答:e
解説:生化学から、歯根膜の線維に関する出題です。生化学の分野は苦手意識のある人も多いと考えられますが、
避けては通れない部分でもあります。これを機にマスターしましょう。
歯根膜の線維の特徴として、以下の様な事柄があります。
・I・III型コラーゲンが主となる
・線維間を脈管・神経が通る
・コラーゲンの半減期が非常に短い(=代謝が活発)
・架橋形成が阻害されると歯の動揺につながる
・還元性架橋結合(新しく生まれ変われる架橋結合)は加齢で割合が変化しない
(非還元性架橋結合に移行する前に代謝回転されるため、通常は加齢に伴い減少)
コラーゲンの型とその特徴的な部位として、以下の2つをここで押さえましょう。
II型コラーゲン:軟骨に多い
IV型コラーゲン:基底膜に多い

避けては通れない分野がここにある…ならば、今この場で押さえましょう!

いかがでしたでしょうか?
東京デンタルスクールでは、大学1年~
国浪生までの定期試験・CBT・国家試験対策を家庭教師・個別指導の
両方のかたちで行っています。
ぜひお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。

執筆:教務主任 岩脇清一
東京デンタルスクール教務主任。
東京歯科大学卒業・歯科医師 血脇賞(優秀賞) 受賞

東京デンタルスクール


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