2012年6月5日火曜日

寄生虫学 セミナー

寄生虫学セミナー


医学生、歯学生、薬学生、獣医学生、
看護、PT、OT、ST、臨床検査技師などを
目指す定期試験、国家試験対策予備校 東京メディカルスール
代表の 岡田です。

昨日、6月4日に東京女子医科大学で行われた

寄生虫学セミナー 「プライマリーケアと寄生虫症
一般臨床医・感染症医が知っておくべき寄生虫症
演者:中村(内山)ふくみ 先生 
 (奈良県立医科大学 病原体・感染防御医学講座/感染症センター)

を受講させていただく機会があり、行ってきました。

寄生虫学は、歯科医師・看護師・薬剤師、パラメディカルにとっては
受講する機会がほとんどなく、興味深い学問です。


今回、受講させていただいたのは新都心感染症研究会では、
大学教授をはじめ、ERなど第一線で活躍されている先生方が中心ですが、
今回、機会があり参加させていただくことが出来ました。

最初、新しい薬のアムホテリシンB(抗真菌薬、国家試験頻出!)
の研究結果など合わせてアムビゾームのご紹介がありました。
大日本住友製薬 https://ds-pharma.jp/

ICUでは、免疫が弱っている患者さんだと緑膿菌・カンジダなど
が問題になり、早期の治療が重要ということです。

アムホテリシンBは歯科医師国家試験にもカンジダ薬として
出題されています。

このアムホテリシンBは細胞膜を直接障害するので
幅広いスペクトルを持ち、増殖の段階で阻止することが出来るという
ことでした。しかも酵母系と菌糸系の両方に効くというお話でした。

血液中から同定されるのはCandisa albicans(カンジダルビカンス)
だけでなく、Candida parapsilosisもかなり検出されるということでした。
Non-albicansについては、私も初めての知識でした。

寄生虫は激減したのか」というテーマについては答えは

NO

で、土壌系の寄生虫は減少していますが、近年は
食品媒介性の寄生虫が増えているということでした。
また、輸入感染症、免疫不全などでのトキソプラズマ、
STD(アメーバ)なども問題になっているそうです。

寄生虫についても各種紹介されていました。

まず、最初は有名な日本海裂頭条虫
日本海裂頭条虫はサクラマスや、サケなどから感染し、
排便後にぶらさがっていることなどがあります。食歴が重要!

次は無鉤条虫で、牛のユッケなどの生食によって感染し、
東南アジアやインドネシアなどでも注意が必要です。

昨日、インドネシアから帰国した塾長は少し不安です^^;
夕食は90円で、飲み物は4円でした。
地元の人達が集まる人気店なので味はGOOD!!

他にもアジア条虫、回虫などを中心に講義が進められました。

寄生虫の診断については、特徴的な所見がある場合もあれば
無症状のときもあり、常にアンテナが必要ということでした。

例えば好酸球(Eos)が増加すると国家試験では、寄生虫とアレルギーを
疑うというのが国家試験でも出てきます。
(この内容は歯科医師国家試験でも問われます。
その場合には、積極的に渡航歴や、動物、虫刺、食事されなど質問
をするということが重要ということでした。

トキソカラ症については今回初めて聞く機会に恵まれました。
本来はイヌに寄生しますが、ウシ、ブタ、トリなどの生物にも寄生するということで、
昔は、砂場などでも検出され、眼や内臓などが侵されるそうです。
塾長が小学生の時に「砂場で遊ぶと感染するよ」と聞いたことがあります。
今、思えばこのことか、破傷風だったのかなと思います。

また、この講義では生食についても取り上げられていました。
塾長はユッケも、トリ生刺しも魚の刺身も生食が好きです。

レバ刺しなど生食はO-157やカンピロバクター以外にも寄生虫のリスク
があることを再実感しました。
また、寄生虫は症状がなくても一人感染していたら家族の
検査をすることが重要ということもお話をいただきました。

肺吸虫症といえば、キムチで感染した寄生虫のニュースが流れました。
これは、生ガニ入りキムチを食べた後に、頭痛、悪寒、気分不良などがあり、
項部硬直が見られたため、髄膜炎が疑われ検査されたところ、
皮下の中で移動する寄生虫が発見されたということです。
中国などではシャンハイガニなどを生で食べることがあります。

肺吸虫症は淡水生のカニを食べて感染し、この蟹を食べた
雑食性のイノシシを人間が生で食べることによっても感染します。
食べ終わった後、腸から出てこの寄生虫は腹直筋に入り、
腹腔へ移動し、肺に侵入したり、皮膚に現れたり、中枢神経に
入ったりするということです。体の中で動く寄生虫はかなり
イメージ的に恐怖です!淡水生の魚やカニを食べるときはよく加熱です。

寄生虫の名前にはカタカナの名前がついた寄生虫もたくさんありますが、
横川吸虫症のように日本の名前もあります(アユに寄生)

また、食品で感染するといったら魚介類に寄生するアニサキスは有名です。
このアニサキスにもさまざまあり、Anisakis simplex(A.simplex)が多いですが、
A.pegreffiiなども種類として存在しているということです。

このように寄生虫には様々なものがいますが、標的臓器によって
おおまかに分けられるということでした。少し見ていってみましょう!

血液
マラリア


アニサキス

小腸
ランブル鞭毛虫、クリプトスポリジウム、回虫、鉤虫、糞線虫、
条虫、横川吸虫、アニサキス、旋尾線虫

大腸
赤痢アメーバ、鞭虫、日本住吸血虫

肝臓・胆嚢
肝吸虫、回虫、エキノコッカス、日本住血吸虫


肺吸虫、糸状虫、回虫

尿路系
ビルハルツ住血吸虫

皮膚・筋肉
顎口虫、マンソン弧虫、旋尾線虫、肺吸虫、鉤虫(動物由来)
有鉤嚢虫、旋毛虫

中枢神経・眼
トキソプラズマ、広東住血線虫、回虫、有鉤嚢虫、肺吸虫

リンパ管
フィラリア

また、他にも寄生虫症としてはジアルジア症、イソスポーラ症、
サイクロスポーラ症など様々なものがあります。

寄生虫学は、普段学ぶことがほとんどなく、非常に
興味深い学問でした。

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